カシミールへの道(起業物語その7) — 運命的な出会い–
<運命的な出会い!>
インドとロサンゼルスへの立て続けの海外出張も、子供たちはすぐに慣れましたが、
まだ夫は完全に受け入れることができていませんでした。
ですが、今までの箱入り奥さんからついにはじけてしまって、エネルギーに
満ち溢れていた私は、友人に勧められるまま、韓国で開かれる女性の社会進出を
推進する国際会議にまで出席することになりました。
Global Summit of Women には、1000人近くの女性、大臣クラス、官僚、
企業のマネージャークラス、NPO関係者、起業家など様々な女性が集まっていましたが、
その分け隔てない待遇に、元専業主婦だった私は感動しました。
隣に、アフリカの大臣が座り、朝食をともにし、家族のことについて
話し合えば、考えていることも近く、全く違う環境で育っても
人間としても、悩みも共通であることを知り、興奮しました。
英語のネイティブの人は少なく、皆あまり上手でない英語で話すので、
逆に気が楽になり、コミュニケーションがとれました。
その会議場の周囲にはウィメンズEXPOと称して、世界中の物産品を売るブースが
ありました。
その中に、半年前、私がインド出張しても出会うことのできなかった、
カシミールのショールを直接製造販売している美しい女性がいたのです。
実は彼女は会議前に日本のパートナーを探したいと私の友人に連絡してきていました。
まさに運命的な出会いでした。
友人から紹介される前に、歓迎パーティーの夜、インド人の女性の方から、話しかけてきました。
不思議な縁があったのだと思いますが、私たちはすぐに意気投合しました。
その後、会議の分科会にはほとんど出ないで、インドストールのブースで
過ごしてしまいました。
そこへストールを買いにくる世界中の女性たち、楽しそうにストールを広げて
繰り広げられる会話と笑顔、次から次へと出てくる美しいショールの山、、、
これこそ、私の探していたビジネスでした。
売る人も買う人も笑顔になって、美しいショールにうっとりするような仕事が
まさに私の探していたものでした。
しかも、彼女はカシミールの貧しい女性たちのために収益の一部で何か貢献したいと
いう、高い理想を持った女性でした。
夫と二人の息子との生活も大切にしながら仕事もしていて、共通のバッググラウンドを
持っていたことも私たちをしっかりと結び付けてくれました。