カシミールへの道(起業物語その10)–カシミールの旅1–
2005年の春、カシミールショールを売るのにカシミールに行ったこともないのでは
話にならないと思い、迷わずカシミール行きを決意。
カシミールは外務省のホームページ上では、ツアーなどを組むことのできない
危険な地域。私も決死の覚悟で出発。ただし、ファーラさんが、ホテルも
同じ部屋に泊ってくださるとのことで心強かったです。
デリーからカシミールのスリナガルへは飛行機で2時間くらいのところですが、
搭乗の際の荷物チェックは大変厳しいものでした。
赤外線カメラで透視するのはもちろん、何回もハンドバックの中身を全部出したり、
また、カメラのバッテリは外すように言われ、機中での撮影は残念ながら出来ませんでした。
ジャンムーカシミール州の州都、スリナガルは高い山々に囲まれ、飛行機から見た
山の景色は圧巻でした。多分エベレスト級の高い山も沢山ありましたから、
めったに見られない美しい景色でした。
空港の警備は厳重でした。街中にも銃を持った兵士が立っていて、たまに破壊された家も
見られましたが、総じて町は平穏でした。
私の宿泊先は、名物の「ハウスボート」と呼ばれる、ダル湖の真ん中の湿地帯に繋留
してある大きなボートです。
大きなボートは木彫が施され、それぞれに飾りを競い合っています。
ボートの中には、ツインの部屋が4部屋とダイニングルームが2か所あり、
小さいホテルのようです。
経営者はホテルの隣に小さなボートを置き、調理場はそちらにあります。
カシミールからどうしても電話がかけられず、困っていたら、ホテルの人が自宅の
パソコンを使わせてくれて、メールが出来ました。
真っ暗な何もない部屋にテレビとパソコンが煌々と光っていました。
こんなところまで、パソコンがつながっているのだと思うと驚きでした。
ただし、湖は電気は一日中繋がっているわけではなく、昼間は停電の時間帯もあります。
4月初めでしたが、その年のカシミールは雪が多く、桜に似た花が咲いていました。
ハウスボートに暖房が無かったので、かなり寒い思いをしました。
客室に一応お風呂はあったのですが、水はちょろちょろという感じで、
あまり使えませんでした。しかも、お湯がぬるくて寒かったです。
あとから、聞いた話ですが、カシミールの受け入れ先では、日本人の女性が1人で
来るというのをなかなか信じてもらえなかったようで、絶対来るわけが
ないと最初は思われていて、ホテルの予約を手配してくれなかったそうです。
ファーラさんの取引先でもカシミールまで行った人はほとんどいないそうです。
確かに、紛争地域ですし、当時は外人はほとんどいませんでした。
ヨーロッパ人の男性に1人で会っただけで、他はインド人の観光客だけでした。
私も怖いもの知らずで後から考えると無謀だったのかもしれませんが、
ともかくカシミールに行くことが出来たのです。
これは8年前のことですので、インフラも今ではかなり良くなっていることでしょう。
最近は観光客も戻ってきているとのことです。