☆インド出張記その4 —刺繍職人の家へ—
次はパシュミナ刺繍ショール選びです。
インドではある程度高級な住宅は柵で囲われていて、門番がいます。
デリーは地価が高いので、アパートが多いですが、5階建てのアパートでもほとんど
エレベーターがありません。階段は大理石でできていることが多いです。
というわけで大理石の階段を最上階までのぼって、ぜいぜいしながら、ようやくたどり着きました。
こちらのお宅は、何回も行ったことがあります。
ムスリムの家では靴を脱ぎます。
私のパートナーにとっては家族のように親しいお宅で、今日は夕食もごちそうになります。
いつもものすごくあたたかく迎えてくださいます。
私のために特製のスパイス少なめのカレーを用意してくださいました。
キッチンに私も入れていただきました。キッチンは日本とそれほど変わらない作りです。
一軒に数家族住んでいたり、客人がいるのは普通のことのようです。
お嫁さんたちは、ストールを頭からかけています。
血のつながっている娘さんはストールを頭からかけなくて良いそうです。
お祈りの時はストールを頭にかける必要があるし、家長の前ではストールを身につけるのが礼儀だそうです。
ムスリムの決まりはいろいろあるようです。
カレーは絨毯の上に敷いたテーブルクロスの上に出されます。
真っ白な布に刺繍をしてある素敵なクロスが出されると、万一カレーをこぼしてしまったら
どうしようといつも思います。
クロスも家族用にはビニールで、しかもお料理の絵が描いてあるような楽しいものもあります。
ストールの商売の方ですが、この職人さんの工房では、最近はヨーロッパだけでなく、
ロシアやブラジルにもお客様が増えたようで、景気が良いそうです。
新興国の発展はこんなところにまで及んでいるのですね。
今回の最大の目的のパシュミナ刺繍ショールを見せていただきました。
いつも苦労するのは電気が暗いことです。
高価なショールですし、微妙な色が見たいのですが、インドでは明るい部屋が少ないのが悩みです。
毎回、どんなショールが出てくるかわくわくします。
刺繍で埋め尽くされた最高級ショールも素晴らしいですが、少し、少なめの刺繍で、センスの良いものも
楽しいです。
今回は、新しいデザインのショールがいろいろありました。
特に最近インドでは、伝統的な柄の中に、ストライプがあるデザインが流行しているようで、
最高級ラインでもストライプのあるショールがいくつかありました。
前回と全くテイストの違うショールがあったので満足しましたが、
刺繍で埋め尽くされた最高級のショールには今回は出会えませんでした。
これは次回の楽しみにいたしましょう。
それでも、伝統的なデザイン、斬新なデザイン、色もいろいろ揃って、素晴らしい収穫でした。
写真の作業はストールの最終のフリンジの仕上げです。
と言っても、高級なものほど、意外に簡単で、断ち切りです。
カシミヤなどの繊細な素材を使ったものは複雑なフリンジを作ったりせず、単純に切って少し横糸を抜くだけで完了です。
シルクなどのように固くて丈夫な繊維でないと、複雑なフリンジは作れないのです。
ストール専門店インドリーム 店長 芳珠